箕面公園昆虫館館長の評論
アクリル樹脂に閉じ込められた虫
古くから宝石として珍重されているコハクは、虫が閉じ込められていることで有名である。
コハクは、樹液が固まって化石になったもので、樹液に飛んできた昆虫達が閉じ込めらている。
映画ジェラシックパークでは、閉じ込められた蚊の体内にある吸血した血からDNAを解明し、
恐竜をよみがえらせるストーリーである。
アクリル樹脂の中に閉じ込められている昆虫は、何をよみがえらそうとしているのだろうか。
アクリル樹脂の中の昆虫は、死んでしまった昆虫を拾い集めてきたものだと言う。
それを人為的に封入した作品である。
寿命が尽きた昆虫、道路で車にぶつかり死んでしまった昆虫、外灯などに吸い寄せられて
出られなくなってしまった昆虫なのだろう。その死んだ事実をアクリル樹脂に閉じ込めている。
昆虫にとって死んでしまうことは、日常的に当たり前なのだが、
その原因はアクリル樹脂を作ることと同様、人間によって引き起こされたものである。
アクリル樹脂の中に閉じ込められた昆虫達は、その時そこで生きていた事実である。
今回彼の作品を展示しているが、昆虫館にしっくり合っている。
昆虫を理解する切り口が1つ増えた。
虫の名前も大切なのだが、まず感じることが大切。
箕面公園昆虫館 館長 久留飛克明
by 佐藤隼
by satojun3106
| 2011-12-19 02:36
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